昭和学報

「カルチャーとしての文学-音楽・芸能・笑い」山田夏樹専任講師にインタビュー

記者:池嶋 透子
最近のうれしかった出来事はラーメンが食べられるようになったこと
 10月2日(土)14時から、第9回昭和女子大学日文公開講座「カルチャーとしての文学-音楽・芸能・笑い」が開かれます(参加無料)。講座の登壇者である、昭和女子大学専任講師の山田夏樹先生にインタビューしました。

Q.なぜ、この講座を開くことになったのですか。

A.今回の副題が音楽・芸能・笑いとなっているのですが、これらは登壇者の矢野利裕さんと話し合って決めたテーマです。矢野さんはDJや文芸批評、音楽評論など幅広く活動されています。小説や音楽、お笑いなどの文化はなだらかにつながっているものです。娯楽であると同時に「面白かった」「つまらなかった」だけで終わるものではなくて、同時に社会問題についても私たちに考えさせてくれるような要素があると思っています。そういったものを広く捉えていきたいというのが狙いです。

Q.この講座は、文学に難しいという印象を抱いている人にとって聞きやすいのでしょうか。

A.そうですね。小説ももともと読み物なので、堅苦しいものではないと思います。勉強という感じではなく、身近なものとして捉えていくべきだと思っています。一方で、どんな文化もそうですが、ただの娯楽として片づけられるものでもないので、両面から考えられるといいですよね。

Q.この講座をどのような人に聞いてもらいたいですか。

A.日文公開講座はこれから大学に入学する人や高校生向けのものですが、世代を問わず、今回のタイトルに関わる文化に興味を持っている全ての方に聞いていただきたいです。
 また、現代の文化に思うところがあるという方や違和感を覚えている方にも聞いていただきたいと思っています。さまざまな社会現象や事件、ニュースに関して、自分だけは当事者ではないという姿勢の言葉や意見がインターネットなどで飛び交っています。簡単に「社会と自分」、「当事者と非当事者」と切り離せるものではなく、すべては表現というものを通して関わっているものであるので、それが豊かにつながっていくといいなと思います。

インタビューの様子

Q.普段の講義ではどのようなことを教えていますか。

A.文学の授業では、短編小説の読解を主におこなっています。短い小説からでもさまざまなことが考えられます。例えば「この部分は今の社会につながっている」、「今の私たちが抱えている問題が昔の小説にも描かれている」というように、現代の視点を通すと改めて何が浮かび上がるのか、一緒に考えていきましょうというスタンスでやっています。
 さまざまな社会問題や政治の話、社会的な大事件など、本来は学生同士で話し合うべきことであっても、友達とは話しにくかったり、気恥ずかしかったり、面倒くさい奴だと思われそうだったり、私が学生の時もそうでしたが、どこか抑圧的な雰囲気があるような気がしています。小説や漫画などを通して、授業の場でそういうことを考えるきっかけになればと意識しています。

Q.今回の講座でも社会的な問題に触れるのでしょうか。

A.差別などの社会問題については触れていくと思います。小説を読むことは差別構造と向き合うことでもあります。語るべき存在として選ばれた小説の主人公にはどこか「おかしさ」があり、そこには差別的な視線が少なからず入り込むと思っています。また、お笑いにも笑ったり笑われたりする構造があります。そんな社会に身を置いている人間同士、どうコミュニケーションをとっていくかという話を矢野さんと打ち合わせしている段階です。「差別は良くない」だけで話を終わらせてはいけないと強く思います。普段見ないようにしている問題や、自分は違うと思いたくなるような構造も含め、向き合う講座でもあります。

Q.受験生に向けたメッセージはありますか。

A.どんなことでも学びになるということです。文学は難しそうという印象もあるかもしれませんが、文学だけでなく、音楽、芸能、笑いなど素材は何でもいいので、それをどう論じるかどう考えるかが大事だと思っています。教科書に載っているようなことだけが学問の対象ではなく、大学は自由に学べる場でもあります。その学びの領域や可能性を作り上げるのは学生1人1人なので、やる気とやり方次第ではなんでも学びの対象にできるのが大学のいいところではないかと思います。文学も重厚さの中に、娯楽的要素、ふざけた要素、笑える要素を秘めていたりします。ぜひ大学で一緒に学びませんか。
 この取材を経て、文学、音楽、芸能、笑いなどの文化から、人や現代社会を読み解いてみたいと強く感じました。また、エンターテインメントには人と人とのつながりをつくったり、社会問題について考えるきっかけになったりする可能性があると思いました。今回の講座を通し、日本の文学についても見聞を広めていきたいです。
 山田先生、貴重なお話ありがとうございました。


FOLLOW US!
昭和女子大学の日々を発信中!
昭和女子大学 〒154-8533 東京都世田谷区太子堂1-7-57
© Copyright 2003-2018 Showa Women's University All rights reserved.
© Copyright 2003-2018 Showa Women's University All rights reserved.