昭和学報

【連載・最終回】スーパーグローバルキャンパスで初の「SWU – TUJ – BST共催シンポジウム」

 世田谷キャンパス内に並ぶ昭和女子大学(SWU)、テンプル大学ジャパンキャンパス(TUJ)、ブリティッシュスクール・イン・トウキョウ昭和(BST)による初の「SWU – TUJ – BST共催シンポジウム」が7月10日に行われました。「日本の未来、世界の未来―グローバル社会に生きる責任」という全体テーマのもと、昭和女子大学のコスモスホール、オーロラホール、TUJの3会場に分かれ、学生と生徒がそれぞれ設定したサブテーマについて議論しました。
 記者:小幡 美仁・髙橋 未優・田丸 萌夕希・土居 果歩(五十音順・記者紹介は文末に記載しています)

学生、生徒による議論
テーマ3 グローバル社会で求められる力を探る

 昭和女子大学 コスモスホール会場では、テーマ3「グローバル社会で求められる力とは何なのか、どのように育成すればよいのか」の討論が行われました。
3校から7人の学生が登壇、各自のバックグラウンドを紹介することから始まり、他者のアイデンティティを尊重する姿勢が終始見受けられました。討論は、3つのPosition Statementsをもとに進行しました。

1. 異文化を多方面から、対等に見つめる

 グローバル人材を「多文化の中で働ける人」と定義し、一つ目のPosition Statementが発表されます。まず、「多文化の中で働くには、異なる文化を理解することが重要である」と提起されました。異文化を理解するプロセスで、文化に優劣がないこと「文化相対主義」を知ることが求められると学生は主張します。この際、自分自身の文化的視点に影響を受けることを覚えておく必要があり、外国を理解、許容するには十分な知識量が必要であるとのことでした。
 具体例として「捕鯨」が話題に取り上げられました。「捕鯨の有無の文化の違いは、倫理観という話にも繋がるのではないか」、「実際の問題点は文化とは離れた場所にあるのではないか」といったような意見が投げかけられます。アメリカ留学経験のある日本人学生は、留学先の高校で捕鯨の動画を見せられ、アメリカ人のネガティブな反応を目の当たりにしたことで、複雑な感情を持ったことを明かしました。また、捕鯨は文化的批判にとどまらず、環境問題にも関係していることを指摘する声も上がりました。文化をまたいで議論される一つの問題に対し、複数の視点から問題を分析する必要性、異文化を対等に考慮する重要性を高めた討論でした。

2. アイデンティティの尊重

 次に、「グローバル人材になるのに、文化的特徴は妨げになるのか」という問いに取り組みます。本シンポジウムの参加以前、日本人学生は、「日本人の、自ら意見を主張しない文化的特徴は、意見を主張する欧米人にネガティブに誤解されてしまうのではないか」と考えていました。そして、彼女は日本人の「年配者を敬う心」、「敬語」の存在がこの文化的特徴に影響していると考え、日本語においてその敬語が簡略されれば、コンプレックスが解消されるのではないかと疑問を持ちました。対して、敬語を使用する韓国語話者は、日本人よりも意見が主張できる傾向があることを他学生が指摘します。また、英語を第一言語に持つ学生の「意見を発することはできないが、相手の意見を察することができるのは良いことだよ」という発言が日本人学生の心を救いました。
話し合いは、「文化に優劣はない、常識は人それぞれ。人の常識を自分の常識にする必要はない。」という結論に至りました。世界の文化に優劣はなく、自分の文化を誇りに思い、他者の文化を尊重することが重要だということです。学生は、文化相対主義の観点から、日本人特有の意見を強く主張できないことを、一概にネガティブにとらえる必要はないという気づきを得たと言います。多文化の中で共同する為には、「双方向からの異文化理解が必要であること」、「相手の文化を事前に知ることが大切であること」が提案されました。特定の文化的特徴をグローバル社会の中で障害とみなすことに警鐘を鳴らしたPosition Statementでした。

3. 異文化理解力を身に着ける

 最後に、「グローバル人材になるために、学生のうちにできる一歩」について意見が発表されました。日本には日本の文化、アメリカにはアメリカの文化、さらに一つの国にも様々な文化があることから、「異文化理解力」を身に着けることが提案されました。
 続けて、「自国の文化を理解する」ということが、異文化理解力を高め、外国の文化を考える際の土台となるという主張がでました。私立校に通い続けているという日本人学生は、シングルマザーの家庭にホームステイをした経験から、自分と彼女との間には異なるライフパスがあることを知ったと言います。住んでいる場所、通った学校、出会った人によって個人の文化が形成されていくことから、子供の頃から、他校の子とコミュニケーションをとることが提案されました。文化という大きな枠組みを考える際、国単位だけではなく、一コミュニティ、一個人に目を向けることも大切であることが分かります。
 基調講演では、米澤香子さんの「自分自身の文化」、「個性」、「アイデンティティ」の一連のお話がありました。本会場(テーマ③)では、学生は「パーソナルインタレスト」が、人との繋がりを持つ際のカギであると主張します。同じ国の出身であることよりも、出身地に関わらず同じ趣味嗜好を持つ人々の間の方が、意見交換が活発であるということです。国という単位にとらわれず、まずは個人の属する文化を尊重することが、異文化理解力を身に着ける第一歩であるかもしれません。

グローバル人材になることは特別なことではない

 これまでの話合いを通し、本会場ファシリテーターの井原奉明先生が学生に、「グローバル人材に成長する過程で失敗を恐れて何もしないこと、また失敗をしてしまった場合どうするのか」と問いかけました。学生は、社会に偏見があることを理解し、失敗に対し寛容な姿勢を見せた後、自分が偏見を持っていることを理解し、乗り越えていく姿勢が大切であると主張しました。また、違いを探すことよりも共通点を探し、「人と人とが接している」ということに意識を向けることが重要であるといいます。グローバル人材になるということは特別なことではなく、「相手を理解する。相手との共通点を見つける。」というように、相手を尊重し、繋がりを大切にする「一人ひとりの歩み寄り」だということです。

全体発表

全体のまとめ ~3会場での意見発表~

 それぞれの会場でディスカッションが行われた後、お互いに出た意見をまとめ結論を述べる意見発表が行われました。それぞれの結論を紹介します。
昭和女子大学グループ
 文化の違いを受け入れることや、文化に誇りを持ち、異文化と積極的に交流すること、学生のうちから自分と違う人と交流することが異文化理解への第一歩となるため、互いを尊重し、受け入れることが必要であると思います。
TUJグループ
 若者が文化について議論をすること、文化を当たり前のように受け入れること、他者の意見が異なっていても受け入れて理解することが文化への不寛容を克服する第一歩になると思います。
BSTグループ
 文化というものは常に変化し続けるものであり、文化は批判することが出来ます。多文化社会に生きるとはこのような批判している人も一つの社会であり、多様な人々と強調することであると思います。

まとめ ポール・タフ BTS学校長

 コスモスホールでテーマ③の討論を見守っていたポール・タフBST学校長は、「ウェールズ出身、22年間の海外生活、3つの異なる大学で教鞭をとってきた」自身のバックグラウンドを紹介したうえで、今回のシンポジウムで学生が複雑な問題に深く取り組んだこと、積極的に意見が交わされたことに感銘を受けたといいます。また、それぞれ特徴をもつ3校が、今回、場所と時間を共有したことは、お互いが協力をし、理解を深めるこれからの第一歩であると述べました。最後に、世界の直面する問題に対応する際、私たちを繋ぐ共通点を知ることは重要である一方で、違いを認識することの必要性を提示し、問題を異なる視点からアプローチすることが、将来、学生が果たす役割であるとして、今回のシンポジウムをまとめました。

閉式のご挨拶 マシュー・ウィルソンTUJ学長

マシュー・ウィルソン学長は、シンポジウムの利点として視点を広げること、多文化理解を深めること、世界に役立つスキルの向上、相互の尊重・理解、国際的なコミュニケーションなどを挙げました。
19歳の時に生まれ育った故郷を離れ、北海道の教会に行きました。当時、国際などには関心はなく、怖く恐れながら来日しました。それから 32年が経ち、世界に対して目を向けられるようになったと実感しているといいます。過去20年間国際教育に携わり、コミュニケーション、受け入れる、適応、問題解決、協力することを知りました。国際的な教育、対話によって、目、心、ドアを開かせることができるといいます。国際関連の対話には理解を深めることを期待しています。全てに合意しないといけないということではなく、対話を通して包摂して反論することが可能だということです。
グローバルキャンパスの1つであるテンプル大学ジャパンキャンパスのリーダーかつ教育者として、国際教育・異文化の対話を実現できることを確証すると主張しました。なぜならば、異なる国籍・背景・信条・思考の学生がもたらす強みを理解し、自身の経験からもグローバルな世界で可能なことがたくさんあると理解しているからです。国籍・ジェンダー・思考・肌の色に関わらず、全ての人の尊厳を高めることができると信じています。理念の自由、表現の自由に対して、全ての人が自由になれると信じています。壁、隔離よりも、グローバル世界のために広げることが大事です。より大きな隔離よりも、相互のアイディアを共有しあえると信じています。ともに平和、相互の理解のために今後も活動し続けることができると信じています。

参加学生の感想・コメント

(小幡美仁)テーマ①に参加して、相手の文化を受け入れるためには、まずその人を知ることが大切だという学生の皆さんの意見が印象に残りました。文化というのは、社会的なものだけではなく、その人個人が持っている価値観や性格、意見を指すのだと学びました。これから社会の一員として生活をしていく上で、様々な人と出会うと思います。その人がどのような人なのかまずは興味を持って、知ることを心がけていきたいです。

(田丸萌夕希)私と同じ世代である学生の皆さんの「これからの社会を築いていく一員である」という強い意志や認識に感銘を受けました。このシンポジウムに参加できたことで、英語と日本語、そして異なる背景という壁を越えて沢山の発見がありました。普段の生活では体験することのできない貴重な経験となりました。私自身も、日々多角的視点から物事を考え沢山の人と意見を交換できるよう努めていきたいです。

(土居果歩)テーマ③に参加しました。自分の文化を誇りに思い、相手の文化を尊重する。あたりまえのように聞こえますが、話し合いの中でたくさんの気づきがある有意義な時間でした。3校から学生が集まったからこそ、様々な視点の意見に出会うことができたのだと思います。

(髙橋未優) 昭和女子大学、テンプル大学ジャパンキャンパス、ブリティッシュスクールという3校が存在している多様性溢れる環境において、このような3校共催シンポジウムを実現できたことに非常に価値があると参加し、強く実感しました。さまざまなバックグラウンドをもった個性のある学生・児童の意見共有をすることで共通点や全ての人が大切にしていきたい本質に気づくことができたのではないかと思います。これからの3校のさらなる進展に期待したいと思います。

当日の動画はこちら

記者紹介※五十音順

小幡 美仁
管理栄養学科。趣味はフルートを吹くこと。学園イメージソングプロジェクトに参加している。
髙橋 未優
国際学科。学報委員長。好きなことは自然の中で過ごすこと。
田丸 萌夕希
好きな言葉はご縁。美術館巡りが趣味。
土居 果歩
英語コミュニケーション学科。太陽の光で目が覚めると幸せ。

FOLLOW US!
昭和女子大学の日々を発信中!
昭和女子大学 〒154-8533 東京都世田谷区太子堂1-7-57
© Copyright 2003-2018 Showa Women's University All rights reserved.
© Copyright 2003-2018 Showa Women's University All rights reserved.