授業・学生の活躍

日ごろから災害に備える「ローリングストック」を追求
研究員・学生・教員が集う食プロジェクト

 昭和女子大学現代ビジネス研究所の「食プロジェクト」では、研究員・教員・昭和女子大学の学生らが非常食の備蓄法である「ローリングストック」の普及に向けた活動に取り組んでいます。
 ローリングストックとは、食料品や生活必需品を日常生活で使いながら備蓄するものです。災害への備えは大事なことがわかっていてもどうしても疎かになりがち。ローリングストックとはなにか、どのような活動をしているのか、話を聞きました。
 

現代ビジネス研究所とは
 大学と企業・地域が連携して多様な協働環境を創出する拠点です。研究所には公募で選ばれた多様な実務経験を持つ社会人が研究員として所属し、それぞれの経験、知見を基に自らの研究テーマを深めつつ、研究員同士の交流による新しい価値創造や、学生との協働プロジェクトに取り組んでいます。

 

研究員の視点から得る気付き

 食プロジェクトは、ローリングストックの考えを広めることを目指しています。具体的には、「非常食レシピ」の提案・発信、ワークショップなどの啓蒙活動等を行っています。2015年に始まり、昭和女子大学の学生、専門の異なる現代ビジネス研究所研究員、昭和女子大学の教員の多様な視点を通じてローリングストックと向き合ってきました。
 この研究会に集まる学生は、管理栄養学科、健康デザイン学科だけでなく、現代教養学科や会計ファイナンス学科などさまざまな学科に所属しています。非常食レシピは誰でもできる簡単なものでなくてはいけないため、食についての専門的な視点だけでない、幅広い学生の視点も大切だそうです。
 さらに、多様な視点が集うことには”災害食”を検討する上でも特別な意味があるとして矢代晴実研究員は次のように話しています。
 「普段は工学分野で災害を専門に研究を続けていますが、実際の被災の状況で『ずっと菓子パンばかり食べている』といった、災害食に対する問題意識はありました。しかし災害食は、災害、調理と分野横断で考えるべき課題でなかなか着手しづらい状況でした。しかし多様な専門性を持つ学生が集まったことでこの研究可能になりました。また、私自身も調理に関心を持ち、日々挑戦しています」
 

ポリ袋を使ったレシピを検討している様子。洗う必要がないため、水が限られた状況で有効。

 
 2020年度は災害時の一週間という状況を仮定し、献立を検討しました。研究会に所属する健康デザイン学科の西坂早矢さん、管理栄養学科の下髙未羽さんは「普段授業で考えるレシピとは全く違う」とし、「消費期限もある中で、どう食材を使いまわしていくかが重要」と話しています。非常時だと燃料、冷蔵庫も使えなくなる可能性もあり、材料の保存できる期間がバラバラの中で、優先順位を考えなくてはいけないそうです。
 当初学生は1~2日目に肉を使う料理や、消費期限の短いチーズを使ったグラタンなどを提案しました。そこで受けた研究員の助言で新しい気づきを得た、と管理栄養学科の山田ゆいかさんは振り返ります。
「完成したレシピを見せたとき、矢代研究員に『被災初日に、本当に食べられるだろうか? 被災時の気持ちをふまえて考えて』と言われました。確かにそうだな、と思いました。
 より被災時の心理を考え、初日は時間をかけないでできるものや、食べやすく消化しやすいものに変更しました。日数が経過したところで少し手の込んだレシピにするなどを工夫しました。」
 研究会では7日分のレシピを検討して得た成果をもとに、実際の被災時にはどのように献立を考えるべきかについてまとめました。

 

コロナ禍でも活動を諦めない

 考案したレシピは例年、市町村で実施するローリングストックを伝えるためのワークショップを学生が中心となって実施、市民に伝えてきました。しかしコロナ禍で人との接触が少なくなる中、活動の要である”普及”が難しくなりました。
 ワークショップを実施できなくても人々に課題意識を持ってほしいと、研究会はレシピを紹介するアプリを通じた情報発信を思いつきました。
 料理サポートアプリ「FamCook」を開発する株式会社Fam-Timeと協働、FamCook内に特集コンテンツ「災害を生き抜く非常食」としてレシピを掲載しました。アプリの中では2020年に検討した、災害時の一週間分の献立の考え方についても紹介しています。
 

 
 新規にアプリを開発するのではなく、日ごろ使っているアプリに組み込んだことについて「災害食に特化したアプリを開発するのではなく、日常的に人々がレシピを紹介するアプリに組み込むことで、日常的に災害食に接することができるようにしたいと考えました。これはローリングストックの根本である、生活の延長で災害に対処する考え方に直結するものです」と段谷研究員は話しています。
 アプリではレシピを動作ごとに写真付きで説明、誰でも理解できるよう工夫しています。アプリを通じて、ワークショップで実演できずとも人々への啓蒙を続けることができました。
「レシピはどれも普段から取り組めるもの。災害時だけでなく、日常的にチャレンジしてみてほしい」と、研究会の人々は口をそろえて話しています。
 

研究会 所属メンバー
現代ビジネス研究所 段谷 憲 研究員、古田土 俊男 特別研究員、小野田 美都江 研究員、 杉本 宏 研究員、矢代 晴実 研究員
株式会社 Fam-Time 西村 威彦さん
料理研究家 渡邉 由香子さん
松嶋 里菜さん、下高 未羽さん、山田 ゆいかさん、西坂 早矢さん、二田 采音さん、新福 里奈さん、長谷川 理穂さん、川上 華菜子さん、白田 美穂さん
昭和女子大学食健康科学部健康デザイン学科 不破 眞佐子 准教授(顧問)

 

食プロジェクト考案のレシピを見る方法

1.食コミュニケーションアプリ「FamCook」
 https://fam-time.com/services/famcook
 アプリダウンロード後、「特集」欄から閲覧できます。
 
2.「クックパッド」昭和女子大学非常食のキッチン
 広く知ってもらうため、馴染みの深い「クックパッド」でも2016年3月より公開しています。
 https://cookpad.com/kitchen/14381603
 
3.Instagram
 https://www.instagram.com/bizlabshokupuro/


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