昭和女子大学人間社会学部心理学科の特色ある学びのひとつに「心理学総合演習」があります。社会とのつながりの中で、心理学が果たしうる役割について体験学習するものです。
2月12日に、「社会心理学における再現性検証」「防犯・防災による地域貢献」「手作り工作を通じた障がい者の余暇支援」「三軒茶屋のこころの居場所あいりす(世田谷区連携「こころの居場所」づくりと運営)」の成果発表会が学内で開催されました。
「社会心理学における再現性検証」では、他大学と協力して2018年度から既存の心理学実験についての「再現性」の検証を取り組んでいます。心理学でいう「再現性の検証」とは、、既存の研究成果について追試を行って同じ結果が出るかどうかを調べることです。再現性が認められない研究は、学界で問題になるといいます。前年度の反省を踏まえながら、既存の重要研究の直接的追試実験を実施しました。先行研究を支持する内容が得られず、先行研究が理論的に疑わしい可能性が高くなったようです。高い問題意識を抱く4年生を交えながらのプロジェクト活動に、後輩も刺激を受けたようです。
「防犯・防災による地域貢献」では、社会福祉法人世田谷ボランティア協会や世田谷警察署などと連携し、地域の犯罪被害状況や防犯・防災活動について理解を深めました。援助を必要とする被災者とボランティアをマッチングするマッチングコーディネーターや、災害時の生活、災害時用マンホールトイレについて学び、痴漢撲滅や万引き等犯罪防止の訴求活動とともに、有効な防犯対策を検討しました。防犯・防災をキーワードに、実社会での取り組みについて幅広く学ぶことができました。
「手作り工作を通じた障がい者の余暇支援」は、地域で暮らす知的障がいの方たちの余暇のため、手作りの工作で交流しました。乳幼児の親子が集う広場や行事に参加し、そこでの体験実習を通じて、相手の年齢や興味関心、スキルに応じた遊びの楽しみ方やコミュニケーションの取り方を学びました。これらの体験を通して、乳幼児、保護者、知的障がい者、施設で働く人々など、さまざまな背景を持つ人々との共生について考えることができました。
「三軒茶屋の居場所あいりす」(こころの居場所づくりと運営)は、世田谷区と昭和女子大学心理学山崎研究室が提携し、文部科学省が提唱する「こころの居場所」作りを世田谷区役所三軒茶屋分庁舎において、世田谷区在勤在住の女子青年対象に心理支援を年間を通じて提供する活動です。
学生主体で、さまざまな企画し実施運営をします。読書や、工作、手芸、ゲーム、学習や利用者との夕食作りによって、ほっとするこころの居場所をともに築いていきます。
さらに、世田谷区や他の地域の居場所作りを担う組織との意見交換や、利用者への広報活動が行われました。
参加した学生は「自分らしくいられる場所の重要性を知るとともに、傾聴の大切さと難しさも学んだ。利用者との距離感の取り方がとても重要であることを学んだそうです。
それぞれの発表後には会場から多くの質問が寄せられ、活発な意見交換が行われました。
最後に学科長から「知識は授業で学べるが、体験したことを踏まえ、どんな風に考え、変わっていけるのかが大切」と演習の意義が改めて語られました。司会の教員からも「「心理学総合演習」は教室以外の場所で自らの学びを振り返ることができます。ぜひ積極的に参加してほしい」との呼びかけがありました。
「三軒茶屋の居場所あいりす(こころの居場所づくりと運営)」Twitter(新規ウインドウ)