昭和学報

金尾朗先生に訊く 学生ホールに込めた思い

記者紹介

吉江 真耶(よしえ・まや)
学報委員会委員長。千葉県出身。人間社会学部現代教養学科3年。情報発信を学びたいと考えて学報委員会に入会。趣味はヴィジュアル系のライブに行くこと。

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新しい学生ホール

 昭和女子大学8号館1階にある学生ホールが夏休みの間に改修された。生活科学部環境デザイン学科の金尾朗教授に学生ホール新生までの話を伺った。


金尾朗教授

▷金尾先生は学生ホール改修のどこに携わったのでしょうか。

 学生ホールのデザインをしたのは、生活科学部生活環境学科の卒業生で、建築家の永山裕子さんです。
僕は昭和学園内のデザイン・建物を扱う委員会に大学側から出席していて、その中で坂東眞理子理事長・総長が「学習環境を整えたい」と、施設の改修を提案していました。そこで、永山さんの名前があがり、紹介しました。正門側から西門側まで抜けている空間にすることや、タイルからフローリングに変えることなど、僕が出したのは「原案」ぐらいですね。

▷学生ホールのデザインについてお訊きします。まず新しくなった学生ホールで目を引くカラフルなカーテンのようなもの、あれは何ですか?

 永山さんに聞いたほうがいいと思うのですが、僕が想像するに、「柔らかい仕切り」を考えたのだと思います。学生ホールのように突き抜けている空間というのは、それだけでは単調すぎてしまう。しかし、壁で仕切ってしまうと、強く仕切られた空間になってしまう。あのカーテンはアクリルという素材を使っているのですが、透過性のある素材を使うことによって「強すぎない」仕切りを表現しているのだと考えています。カーテンには色がついていて、広がっているときは薄い色ですが、垂直に見たときや閉じたときに色が濃くなるという見え方の工夫をしているのだと思います。

▷自動販売機や電子レンジのある場所も変わりましたね。あの白い囲いには何か意味があるのですか?

 トイレや自販機を隠すためですね。ホールに入ってすぐにトイレが見えてしまうのは気になるのではないか、と外側から見てシンプルで綺麗に見えるようにしました。


自動販売機やトイレを隠す壁

▷照明も変わりましたね。以前は白い光でしたが、暖かい色になった印象です。

 光源が発する光の色を表すための尺度のことを「色温度」といいます。例えば、教室などに使われている蛍光灯は青白い光を放っていますね。これは色温度が高いということです。新しい学生ホールでは明度を落とし、色温度を「電球色」にしました。これはカフェなどに使われている光で、暖かみがあり、落ち着きのある色を出すことができます。坂東理事長・総長は「学生の居住環境を良くしたい」という思いをもっていますので、ホールで学生が快適に過ごせるように照明から変えました。


かつての学生ホール

暖かい色になった新しい照明

▷机や椅子も新しくなりました。数が少し減ったように思います。

 学生ホールに使われている椅子は、「Ant Chair」というデンマークのデザイナーがデザインした有名な椅子です。学生ホールの全体の色味に合わせて、色を塗り替えています。
新しく導入された大きな机は、特注で作ったものです。机の脚は「パンチメタル」といって、金属の板に穴を開けた加工をした板を使っています。ここも上から下へグラデーションで塗られています。学生ホールにあの机があるのとないのとでは随分印象が違うと思いますよ。数については、正確に数えたわけではないのですが減っているかもしれません。

▷椅子が減っていることに関して、「新しい学生ホールに椅子を増やせないのか」という学生の意見を聞きます。文化研究講座や女性教養講座の際の混雑を懸念する声も出ています。

 日頃使うことを考えると、椅子を入れすぎてもいけないんです。「学生の居住環境を良くしたい」という思いのもとでデザインしているので、混雑度が最大の時に合わせるのではなく、日常的に使うことの方に軸足を置いています。大学だけではなくどんな施設にも言えますが、混雑時と平常時どちらにウェイトを置くのか、ということも建築を考える上では重要です。
 しかし、昭和女子大学は「学生の居場所が少ない」ことが問題点としてあります。それを改善すべく、1号館と8号館の間のウッドデッキや、正門からの道、6号館前にあるシンボルツリーの広場などに座れる場所を作りました。さっそくブリティッシュスクールの子たち(注・学内に併設)が使っているのを見て、さすが新しいものに敏感だなあと感じましたね。


ウッドデッキ

正門からの道

▷大学内で改善すべきところは、まだまだたくさんあるということでしょうか?

 旧体育館や、学内のアスファルトの劣化など改善すべきところは多いです。学生食堂ソフィアには屋外に出られる場所がありますが、完全にデッドスペースになっている。あのような場所を改善したいと思います。以前何かに活用できないかと思って環境デザイン学科の学生と風船を使った催しを企画したこともあったんですよ。ソフィアの混雑も学生にとっては不便だと思うので、キッチンカーの導入や券売機の2か所設置のレイアウトなどで工夫はしているのですが、難しいところです。
 特に水曜日2限・3限の時間の教室が足りない、学生の居る場所がないという不満は学生さんの中にたくさんあると思います。教員側は、それを想像して作っている状況です。施設に関する不満だけではなくて、デザインに関する意見は出ないのかな、と思っています。学生の声を知りたいですね。

▷改善するために大切なことなどはありますか?

 「小さなところから、今できることを」だと思います。施設の問題は簡単ではなく、何十年もかかる先が長い話です。敷地の関係上、今ある学校施設の中で、小さいところから改善していくしかないのです。その底には坂東理事長・総長の「学生のために良い居住環境を作りたい」という思いが込められています。

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