グローバル

【グローバルに生きる研究】”会話”の科学で広がる日本語教育の可能性

昭和女子大学日本語日本文学科はコース制をとっており、学生は、言語コース(日本語学、日本語教育)と文学コース(古典文学、近現代文学)を選択して学んでいきます。今回は、言語コースの日本語教育の中でも「会話データ分析」が専門の大場美和子准教授の研究室を訪ねました。

会話データ分析を通して会話を「科学」する

 会話データ分析は、日常生活であまり意識することもなく自然に行っている会話の様々な現象を具体的に記録し、社会の実態を明らかにしていくことができる研究です。
 実際の会話をビデオなどで収録し、話した通りに文字化を行ってやりとりを分析すると、「会話のルール」が見えてきます。大場准教授は「私は博士論文で三者会話のやりとりを分析しました。3人の会話では、「3人で楽しく話した」という印象はあっても、3人が均等に話すということはまれでした。2人でのやりとりであっても3人で楽しんだという印象にするにはどのように話すかということは学校でも習ったことはないはずですが、私達は楽しく話すことができます」。
 さらに大場准教授は、留学生と日本人の会話についても研究したそうです。
 「3人の会話に1人留学生が入った場合、日本人同士とはまた異なる会話のやりとりとなります。これも、特に習ったことはないと思うのですが、留学生がいるということで会話への参加の仕方を変えていると考えられます」。日本人同士の会話と外国人の参加する会話では何が異なるのかを具体的に明らかにすることで、留学生の日本語教育や日本人の異文化理解の教育に役立てることができるといいます。

ゲームからビジネスまで 会話はすべて研究対象

  大場准教授の研究室には、専門書や日本語教育の教科書だけでなく、海外ドラマのDVDボックスなども並んでいました。
 「これらも研究対象になるんです」と笑う大場准教授。ゼミの学生の卒業論文の題目を見せてもらうと、分析対象の幅広さに驚かされます。
 「どのような会話も基本的に研究対象になるので、ゼミ生の研究課題は、大学生活での会話だけでなく、テレビのドラマやバラエティ番組から、アルバイトやビジネスシーンまで多岐にわたります。ある学生は、ゲーム好きが高じて恋愛シミュレーションゲームの登場人物の発話とキャラクター形成の関係を分析しました。また、女子高・女子大出身で男子との会話に自信がないという学生は、カップル間ではどのように不満を言うのか、理想的なやりとりと実際のやりとりを比較しました。よく報道される謝罪会見の印象の違いを会話データから分析した学生もいます」。

 大学で「日本語を研究する」という言葉からは想像できないほど、学生自身の日常生活の関心や問題意識を反映したユニークな研究が広がっています。「会話は基本的に毎日行うものであるからこそ、おもしろい現象が日常生活にあふれていて、研究する価値があると思います。今の彼女たちにしかできないオリジナリティのある研究になるようアドバイスをしています」と、大場准教授は会話データ分析の可能性に期待を寄せています。

会話データを収録する様子

会話データ分析の「研究と実践の連携」の可能性

 大場准教授はかつて留学生センターで日本語を教えていた時に、初対面の会話はそれなりにできるのに、2回目以降の会話がうまく続かない、という留学生の悩みを聞いたことをきっかけに、知人関係の会話を分析して、その特徴を会話教育で活用したそうです。
 共同研究でも、会話データ分析の研究成果を、教材開発やシラバスの提案につなげてきているといいます。
 現在大場准教授は、大学内の会話だけでなく、近年増加する外国人介護人材や養鶏場の技能実習生の職場での実際のやりとりを収録し、彼らの日本語教育や一緒に働く日本人の異文化理解に役立てられるように研究に取り組んでいます。「なかなか難しいのですが、現場の問題を分析した研究成果をできるだけ実践現場で活用できるよう心がけています」と話しています。
改正出入国管理法の施行や「日本語教育の推進に関する法律」の公布・施行など、現在の社会状況を反映して、日本語教育の重要性が注目されてきています。「今後、多様な背景を持つ人々と共存し、諸外国と交流する機会も増えていくことと思います。会話データ分析の研究成果が多様な人々とのやりとりに役立てられたらと思います」。

会話データ分析はグローバル社会の発展につながる

会話データ分析を体験してみませんか?

 10月26日(土)14時から、会話データ分析のエッセンスを体感する公開講座「会話の構造を科学する。ーストーリーテリングの世界ー」(参加無料)を開催します。大場准教授と、長く共同研究を行っている東京外国語大学大学院の中井陽子准教授を講師に、私たちの会話の構造を知り、聞き手を惹きつける話し方を学びます。
 日々交わす会話では、体験を語って互いの情報や気持ちを伝え、共感を示し合うことがあります。こうした体験談は、ストーリーテリングと呼ばれます。ストーリーテリングには、導入部、方向付け部、展開部、結果部、終結部といったある一定の構造があります。会話の構造を知ることは、会話だけではなく、文章を書く際にも役立ちます。
 参加者のみなさんに、会話データ分析のエッセンスを体感してもらいたいと思っています。
 詳しくはこちらをご覧ください。

今年も日本語日本文学科の公開講座を実施「会話の構造を科学する。ーストーリーテリングの世界ー」

人間文化学部 日本語日本文学科 学科オリジナルページはこちら
https://swuhp.swu.ac.jp/university/nichibun/

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