昭和学報

シンポジウム「女性リーダー育成への挑戦」に学ぶ②

記者:N.K
心理学科所属

女性活躍推進企業にみる女性リーダー像とリーダーの育成

 同研究所「企業の女性リーダー研究会」が優良企業ランキング上位13社の人事部へインタビューしてまとめた第2・3章について、メンバーの清水直美研究員が発表した。
 「女性活躍推進企業にみる女性リーダー像とリーダーの育成」(キャリア研修、ワークライフバランス施策)をテーマに、まず、どのような女性リーダー像を描き、育成のための研修などの施策、女性管理職・リーダーがどう活躍しているのかを明らかにした。
 女性活躍推進企業の特徴として、トップダウンによって女性リーダー推進体制を整備していたという。また、「2020年までに指導的役割の女性を30%に」(202030)という政府目標に沿って推進していた。特に、指導的位置に女性が占める割合が20%以上の企業は達成数値目標に202030を意識していた。一方、20%に満たない企業は自社の状況に合わせた目標だった。
 女性管理職比率別に女性管理職・リーダー育成の企業戦略について分析した結果、次のような傾向が伺えた。
  • 20%以上 = 分母(女性管理職の人数の多さ)を生かして多様な人材を柔軟に活用
  • 10-20% = 人事制度改革による女性活躍の場の拡大とフォローアップ
  • 10%未満 = 母集団を形成しながら企業の文化風土という価値観と向き合う
 リーダー・リーダーシップの男女差については、13社中7社が「ある」と回答した。男性リーダーの特徴として「指導中心で先頭に立つタイプの従来型リーダー」、女性リーダーの特徴として「部下の話を聞き、ともに進んでゆくタイプのリーダー」をイメージしていた。「Withコロナ時代の働き方が模索され大きな転換期を迎えている今、求められるリーダーのスキルや課題も変化すると考えられる」と指摘した。

女性リーダー育成とワークライフバランス・就業継続施策の展開

 先進企業では戦略的に女性選抜研修を行い、3つの段階が確認されたという。
  1. 「女性初期キャリア研修」
    「とにかく辞めさせない」ことが目的。ライフイベントを迎える前の入社3~5年を対象にマインドセット研修が主流だった。
  2. 「選抜型女性リーダー研修」
    確実に女性リーダーを育成することが目的。個別対応しながら管理職に就くことに対する女性特有の不安を埋める。
  3. 「選抜型男女リーダー研修」
    上層管理職向けの研修として男女が同じ土俵に上る。
 男性社員への取り組みでは、アンコンシャスバイアスなど男性の意識改革を目的とする研修や男性育休取得率引き上げなどが広く行われていた。「男性育休の取得率を向上させること自体は女性リーダーの育成に直結するわけではないが、地道な人事部の働きかけが女性の働く環境を改善しキャリアの上昇に貢献する」と見られる。
 このほか、①相談の制度化②時間の有効活用が挙げられた。
 まず企業が相談を制度化することの利点について、女性は男性に比べ「仕事を辞めること」で問題解決する傾向があること、社内で適切な相談相手を見つける難しさが潜在的に存在していること、離職を含めて企業側のリスク管理の観点からも対策が必要であることが挙げられた。さらに、相談の制度化により、相談すること自体のハードルを下げることができ、キャリアに関わる課題を企業が共有できるという。さらに制度化が企業からの「リーダーとして活躍してほしい」「仕事を続けてほしい」といった働く女性に対するメッセージ性を持つという。
 時間の有効活用については、法令の定めの先をいく配慮が進んでいたという。時間に配慮した制度は企業が現場の課題を見逃さず、早期に発見し実態に基づいた制度を導入していることが背景にあり、社員のニーズに合った活用しやすい時間的なサポートが制度化されていることで女性の就業継続が可能になっているという。
 最後に、女性リーダー育成と就業継続は欠かすことのできない車の両輪であること、個々人の努力に頼るのではなく、制度として仕組みを整えきめ細かくフォローする企業側の姿勢が必要であることが提言された。

コメント 坂東眞理子理事長・総長

 「女性役員の実態調査や、企業人事への調査など、色々なグループが多面的に取り組んだことに大変意義があった」とコメントした。さらに、「過渡期の企業が女性を育てるうえでどのような働きかけが有効か。女性は新しいリーダーシップスタイルを開発することができるのではないか。日本経済を活性化するために女性たちは何ができるか」といった問題提起がされた。

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