昭和学報

【イベントレポート】ワクチン接種説明会

 「ワクチン接種説明会」が9月9日、オンラインアプリzoomを使用して開催された。内科・感染症科を専門とする前田正医師を招き、校医の中西員茂先生と学生部長の田村圭介先生が学生からの質問を代弁する形で説明会を進行した。学内で学生・教職員向けのコロナワクチン職域接種が実施されたのを受け、ワクチン接種への関心を高めるとともに、正しい知識を提供するために開催された。説明会での主なやりとりを、テーマ別に整理してお届けする。
【講師紹介】
前田正医師
東邦大学医療センター大森病院総合診療・急病センターで内科・感染症科を専門とする。2005年東邦大学を首席で卒業し、2007年には総合診療総合内科感染症科に従事する。博士号を取得後、2021年には医学部の講師を務める。その傍ら、日本感染症学会指導医やinfection control doctor、内科学会の専門医としても活躍している。

【ワクチンの基礎知識】

 ワクチンは主に6通りあり、生ワクチンや不活化ワクチン、組み換えタンパクワクチン、ウイルスベクターワクチン、DNAワクチン、mRNAワクチンに分けられる。
 この中で、コロナウイルス感染症のワクチンとしてmRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンが使われている。厚生労働省によると、「生ワクチン以外は原理的にウイルスそのものに『感染』することはない」とされている。
 国立感染症研究所によると、mRNAワクチンの仕組みは以下の3つである。
  1. スパイクタンパク質の部分の設計図(mRNA)を注射する。
  2. スパイクタンパク質が産生される。
  3. そのタンパク質に対する中和抗体産生や細胞性免疫応答が誘導される。
※ワクチンを接種することで、遺伝子が組み換えられてしまうなどのデマが流通しているが、mRNAは遺伝子に組み込まれることはない。厚生労働省によると、「ワクチンを使ってmRNAを注射しても、ヒトの遺伝子(染色体・DNA)がある核の中に入り込むことはできず、染色体に変化を起こすことはない」。

【質問Ⅰ ワクチンの効果と副反応について】

Q. モデルナ製とファイザー製どちらが良い?

A.結論は、どちらも大差なし。副反応やワクチンを打つ間隔の違い以外はほとんど差がなく、効果に関してもほぼ変わらないという研究結果が出ている。安全性に関しては、臨床試験をしっかりと行っているため、安全性に心配は要らない。

Q. ワクチン効果が続く期間は?

A.ワクチンを接種完了から発症予防効果9割以上、重症化予防効果95%以上が半年ほど保つことができる。しかし、半年後の抗体数の変化は詳しく分かっていない。また、デルタ株に関してはこの数値が下がる可能性がある。

Q. ワクチン接種の効果はどれくらい?

A.2回接種した人が重症化するのは極めて稀である。本来の目的は、重症化患者を減らすことである。また、感染の頻度を減らすことは変異の点から重要であると考えられる。感染の頻度を減らすことも大切だが、重症化だけをいうと2回目のみで良いかもしれない。

Q. 副反応について

A.副反応は、身体の中で免疫が作られている時に起こる。具体的には、腕の痛み(9割)、だるさ(6割)、熱(4~5割)と言われている。一般的に副反応は接種後1~3日間持続する。ただし、発熱が1週間以上続く場合やのどの痛みなど、他の症状が出てきた場合は、コロナ感染の疑いがあるのでPCR検査を受けることを勧める。

Q. 副反応出なかったのはどうして?

A.自覚的、感覚的な個人差があることから、自分の症状に気付くことができず、副反応が無かったと感じる場合もあると考えられる。抗体の値は相関しないことから、(副反応の)症状がない人が免疫を獲得できていない理由にはならない。

Q. 副反応、2回目の方がひどかったのはなぜ?

A.多くの人が2回目の方が重い症状になると言われている。免疫を獲得する手順として、ワクチン1回目接種でタンパク質に対する抗体を作り、2回目の接種で1回目で記憶した免疫細胞をより迅速に作ろうとするために副反応が強く出る傾向にある。

Q. 副反応を軽くする方法は?

A.基本的に軽度化させることは難しい。副反応があった場合に、アセトアミノフェンやロキソプロフェンが主成分の解熱剤を服用することができる。ワクチンを打つ予定がある方は、事前に入手しておくと良い。

Q. 2回目の接種後、手に力が入りにくいなどの症状がある。

A.稀に副反応が1週間程続く場合もあるが、多くの場合、ワクチン接種から3日後までに副反応が治まると言われている。長く症状が続くようなら、ワクチンとは関係のない症状が発症している可能性もあるので、医療機関で診てもらう必要がある。

Q. コロナにかかってもワクチンを打つ必要あるのか?

A.コロナウイルス感染した方もワクチンを打つように勧めている。

【質問Ⅱ ワクチンの体への影響】

Q. 長期的に5〜10年後に体への影響はあるか?

A.100%安全と断言することはできないが、現在の研究からはmRNAは分解されて体外に排出されるので安心して良い。接種後48時間後の動態を見た報告では大部分は局所にとどまり、肝臓に一部移動する。卵巣に移動する可能性は0.1%以下でその後速やかに体外に排出される。

Q. 不妊への影響はあるのか?

A.不妊に繋がることは極めて少ないということが証明されている。胎盤への影響も少なく、抗体が攻撃することはないと明らかになっている。

Q. 不正出血への影響はあるのか?

A.女性の臓器に蓄積することは少ないと考えられ、作られた抗体が攻撃することもないと考えられる。

Q. 生理不順に影響はあるのか?

A.ワクチン接種が直接的な原因にはならないと考えられる。個人的な問題の方が可能性として高い。

Q. ピルを服用している場合、ワクチン接種は控えた方が良いのか?

A.mRNAワクチンと血栓症との直接的な因果関係は特に明かされていないため控える必要はない。

Q. 脱毛に関係する?

A.ワクチンの副反応よりもコロナウイルス感染症の後遺症として有名である。感染後に抜けることが多々ある。

Q. がんについては?

A.考えられることは卵巣に残ってガン化するということだが、その(卵巣に残る)可能性は0.1%ほどである。そのため、ワクチン接種後に(ワクチンの成分が)卵巣に蓄積してガン化することは考えにくい。

Q. 若い人が心筋炎を起こすことがあると聞いたのだが、安心して良いのか?

A.心筋炎は若い男性に多い。心筋炎になった場合も、自覚症状がない場合や軽症で終わることが多い。そのため、ワクチン接種後の数日間は激しい運動や重労働を避けることが重要。

【質問Ⅲ 接種に対する疑問・心配事】

Q. ワクチン接種を悩んでいる。アナフィラキシーショックを経験したことがあるが、ワクチン接種して大丈夫か?

A.基本的に基礎疾患があったとしても、状態が安定している場合は接種した方が良い。かかりつけの主治医などに個別に確認をする必要がある。例えば、ワクチン接種1度目でアナフィラキシーショックを起こした場合や今回のワクチン成分でアナフィラキシー歴がある場合は、2度目の接種は難しい。一方でそれ以外の場合に関しては経過観察を長めにするなど慎重になる必要はあるが、接種しない方が良いという理由にはならない。罹った時のリスクが上がるため、接種をお勧めする。

Q. 3回目の接種は必要か?

A.接種が開始されている国もあるが、現時点ではまだ必要性は分かっていない。

Q. 親がワクチン接種に反対しているが、どうやって説得したら良いか?

A.まずは、どの点に対して不安や心配があるのかをはっきりさせる。次に、理解している情報が正しいものなのかを確認する。正しい情報を知るために、厚生労働省のホームページや「こびナビ」を確認することをお勧めする。20代でも重症化することはあり、ワクチンを接種しないデメリットやリスクを考えてみることも必要。打たないことのリスクやメリット・デメリットを一緒に考えたら良いのではないか。

Q. 大学生である自分と両親はワクチンを打っているが、12歳の妹は打っていない。小中学生のワクチン接種についての考えは?

A.子どもがいる場合、周りの人が打つことがとても重要。子どもでも、感染はするが重症化することが少ない。懸念点としては、教育機関等で小児の間で感染が広がる可能性が高いという点である。そのため、接種できない理由が無ければ打つことをお勧めする。12歳以上であれば、海外でもしっかりと研究結果が出ているので安心して接種して良いと考える。

Q. 喘息持ちだが、重症化する要因になるか?

A.喘息になりやすい方は気道で炎症が起きやすい傾向にあるので、症状が出やすいと考えられる。

Q. 国産のワクチンを待った方が良いか?

A.ワクチンを打とうと決心しているのなら、現時点で打てるものを打った方がいいと考える。現在、(国産ワクチンは)臨床試験の途中で、私たちが使用できるまでにもう少し時間がかかる。国産ワクチンを待つ間に感染する可能性や後遺症についてもう一度考えて頂きたい。モデルナ製やファイザー製ワクチンは、臨床試験も通っていることに加えて、何万人という人が既に接種していて安全性が確かめられているものなので日本製を待つ理由にはならないと考える。

【説明会に参加して】

 説明を聞いて、ワクチンは打った方がいいと思った。ワクチンを打つことと打たないことのリスクの大きさを比較することが大切だ。根拠のないワクチンのデマに流されないよう、正しい知識を得て、正しい判断をしたい。友達や家族でワクチン接種を迷っている方にこの記事を参考にして頂きたい。

記者紹介

髙橋 未優
国際学科。学報委員長。好きなことは自然の中で過ごすこと。
石塚 そよか
初等教育学科。学報副委員長。

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