イベント

シンポジウム「Girls, be ambitious! –少女よ 理系をめざせ–」で少女・女性に熱いメッセージ

 昭和女子大学は10月22日、グリーンホールでシンポジウム「Girls, be ambitious ーー少女よ 理系をめざせーー」を開いた。ゲストに東京大学・藤井輝夫総長、三菱みらい育成財団・平野信行理事長、東北大学・大隅典子副学長を招き、坂東眞理子理事長・総長とともに、次代を担う少女・女性たちに自分の可能性を狭めず、積極的に理系を目指してほしいと語りかけた。
 シンポジウムでは、最初に3人のゲストが基調講演を行い、それを受けて坂東理事長・総長がファシリテーターとして議論した。
 
開会挨拶:「Girls, be ambitious! ーー少女よ 理系をめざせーー」昭和女子大学・坂東真理子理事長・総長

 最初に、坂東理事長・総長が開会のあいさつに立ち、「日本で最高のスピーカーにお集まりいただいた」と3人のゲストを紹介。「今なぜ日本で女性たちが理系に進むことを社会が期待しているか、という話を聞いて、皆さんに『私もambitiousになって挑戦してみよう』と思ってもらうためにこのシンポジウムを企画した」と、会場を埋めた昭和女子大学附属昭和中学校・高校の生徒や一般の少女たちに語りかけた。
 「STEAM、Science・Technology・Engineering・Arts・Mathematics の素養を持つ人材が世界で必要とされている。日本で国力がどんどんやせ細っているのは、人口の半分を占める女性たちが理系に進まないのも一因」と指摘、「少女たちが中学生、高校生のうちに(理系を)あきらめてしまっている。自分の可能性を広げ、自分の能力を磨いて、社会で発揮して、社会を支えてほしい」「若い女性たちが理系の分野、社会を支え、動かす分野で力をつけていくことが、男女共同参画社会の実現の基礎になる」と、若い世代の女性たちにエールを送った。

 
基調講演 1:「多様性の海へ: 対話が創造する未来」東京大学・藤井輝夫総長

 東京大学の新たな基本方針であるUTokyo Compass「多様性の海へ:対話が創造する未来」を昨年9月に公表、「対話から創造へ」、「多様性と包摂性」、「世界のだれもが来たくなる大学」の3つを基本理念として掲げている。
 総長就任の際、新執行部で一緒に仕事をしたいと思う方を集めたら、女性が半数以上となり話題になったが、多様性の一つの軸としてジェンダーがある。
 なぜ多様性が大事だと思うようになったか。私のこれまでの研究環境は、自然に多様性が存在していた。私の研究室は、フランス、チリ、韓国、インドネシアなどさまざまな出身、多様なバックグラウンドの方々がおり、みんなで話し合いながら研究を進めていた。また、日本とフランスの国際共同研究ラボの共同ディレクターも務めた際は、フランスの色々な機関から研究員が東大に来て一緒に研究をしていた。日本の研究者と異なる視点をもつ海外の研究者と一緒に研究することで、より高いレベルの研究を行うことができた。生産技術研究所長を務めていた2016年には、英国の美術系大学院大学Royal College of Artと提携して、デザインラボというものを作った。デザインやサービスを考える時にはやはり色々な視点を持つ人が集まることが大事。その大学のイノベーションデザインエンジニアリングコースの先生も言っていたことだが、みんなが同じ音で歌ってもハーモニーにならない。それぞれが違う音やメロディを歌っていて、全体として一つの音になる。そういう状態が豊かなアイデアを生み出していく上で重要である。そのデザインラボ自体も多様な方々で構成されていた。 

 東京大学が学術における卓越を達成し、知のイノベーションを生み出し、グローバルに活躍する人材を輩出するためには、ダイバーシティとインクルージョン(D&I)を一層推進していくことが重要であるとの認識に立ち、今年の6月に「東京大学 ダイバーシティ&インクルージョン宣言」を制定、公表した。D&Iの推進、多様性と包摂性に関する教育、だれもが安心して学び、働き、活動できる場作りなど力を入れており、教員女性比率25%以上、女子学生比率30%以上にすることを目指している。
 女性役員の比率30%達成を推進する「30% Club Japan」というキャンペーンに大学として加入しており、昭和女子大学も参画している大学ワーキンググループの座長も務めている。
 また、スタートアップ支援にも力を入れており、女性起業家にも大きく期待している。東大から創業し活躍している女性も増えており、世界を視野にいれてほしいと考えている。
 1972年に世界で初めて開催された環境に関する国際会議「ストックホルム会議(国連人間環境会議)」から50年を記念して開かれた「Stockholm+50」にこの6月に参加した。そこでは、50年前と比較して今の地球環境は決して良くなっていないということが主張された。これからさらに50年後の地球を考えるとなると、今の若者が自分ごととしてアクションしていかないといけない。
 これからの東京大学は、まわりのみなさんともいっしょに活動を考えていきたい。ぜひ、女子生徒、女子学生の皆さんに、大学において活躍の場を広げていただきたい。
 
基調講演 2:「Girls, be ambitious ーー少女よ 理系をめざせーー」 三菱みらい育成財団 平野信行理事長

 なぜ理系の素養が必要なのか? 今、VUCAの時代といわれる。Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字をとった言葉にあらわされるように答えのない問い、課題に挑戦するときに「総合知」が必要となる。
 コロナ禍でも、医学的知識だけでなく、統計学、経済学、法律家などの幅広い専門家がかかわったが、それぞれがばらばらで全体を見通した判断ができなかったように思う。
 日本の理工系の女性比率は17%と、欧米の半分しかいない。日本の女子生徒の数学のレベルは高いのにも関わらず。なぜか?
 「女子なのに数学ができてすごい」といった言葉に隠されている「アンコンシャス・バイアス」と、将来のキャリアパスが見えないことが原因だ。

 より明るい将来にするためには変えていかねばならない。今年8月にオンラインセミナー「理系ブロッサム」を開催した。三菱グループ11社で働く理系の若手女性社員25人、ファシリテーター大学生・大学院生25人、高校生124人が参加して、少人数でディスカッションした。高校生からは「好きなことを追求すればいいんだ」などの声が聴けた。
 これからはビジネスの世界では金融、商社など幅広い分野で理系人材が必要となる。皆さんに、「越境のすすめ」を贈りたい。
 未来を切り拓くために必要なのは、科学的な見方に支えられた「総合知」の他に、世の中の変化を敏感に察知する感性をもって垣根を飛び越えて新しい価値を創造する人材だ。シリコンバレーのGoogle本社で出会った最高技術責任者の女性は、イギリスでヨットの設計をしていたが、アメリカにわたってITを勉強し、Googleでキャリアを積んでいた。キャリアの越境に目覚めたのはこのとき。専門、国境、職種、職場も超える。未来を切り開く鍵を発見した思いだった。
 理系に進みサイエンスの素養と感覚を身に着けたら、大きく広がる未来の可能性に目を見開いてほしい。鋭い感性で人々が求めているものを極め、新しい価値を創造するには、狭い殻に閉じこもっていてはダメ。境界を超えていろいろなことにチャレンジしてほしい。
 
基調講演 3:「もっと皆さん、理系を目指そう!」東北大学・大隅典子副学長

 東北大学は1913年、日本で初めて女子学生が入学した大学で、この最初の女子学生は2人が化学、1人が数学といずれも理系に進んだ。皆さんに言っておきたいのは、大学入試でどこに合格するかは人生のゴールではない。
 自分が10代のころになりたかった職業は、キャスター、旅館の女将、雑誌の編集者、図書館司書など。今、皆さんの前で話して、大学で研究室を主催して多くの学生さんなどのお世話をし、スライドを作って、図書館長にもなって、形を変えて実現している。いろいろな思いがあっていい。まっすぐストレートに夢が実現する場合ばかりではない。
 最初から理系、文系と決めつけずに、好き嫌いせず幅広く取り組んでほしい。母語である日本語、世界の人とコミュニケーションとるための英語に加えて、例えば漢文の素養も中国の人たちと漢詩という文化を共有できるなど、きっと役に立つ。
 ノーベル賞の物理学賞と化学賞はメダルの裏側がいずれも女神。科学はキュリー夫人だけでなくたくさんの女性たちが活躍してきた。
 学習到達度調査(PISA)で日本の女子生徒の成績は男子より少し低い結果だが、OECD平均の男女よりもずっと高い。ところが理工系進学となると日本の女子は低く、日本で女性の能力が理系でいかされていない。

 試験の前に、「性差ある」と言われる場合と、「性差ない」と言われる場合では、それぞれ成績に影響することがわかっている。教育関係、特に先生方には、どうぞ無意識のバイアスを払拭し、「女性なのに」といった言い方をしないようにお願いしたい。
 一方、性差を排除せず、むしろ取り入れることが新しいイノベーションにつながっている面もある。ジェンダーの視点をいれてよりよいものにしていくジェンダードリサーチ、ジェンダードイノベーションが進み、フェムテックという「女性+テクノロジー」の製品開発も広がっている。
 東北大学では、次世代の育成のため、サイエンス・アンバサダーの活動を展開している。女子生徒の理系進学をみんなが応援しています。
 
会場の生徒からの質問

Q:(全員に)今後の目標は?
藤井 今後の目標は、大学という場所をみんなが来たくなる、自分がやりたいことをのびのびできる場所にしていくこと。
平野 日本の未来を明るくしたい。サステイナブルではない。どう変えていくか。その一つが教育。
大隅 図書館をバーチャルな空間としてもっと広めたい。データというバーチャルなものが広がっている。それをどう図書館にもちこんでいくか。本が好きな人は、ぜひ、情報科学を学んでもらって図書館にはいってもらえるといいな。
 
Q:(藤井総長に)勉強方法を教えてください。
藤井 勉強は、一番大元までたどって調べてみることが大事。教科書、参考書で興味をもったことは、本を読んだり、インターネットで調べたり、本物に行き当たるまで掘り下げてみる。すると、調べていく中で周りのことも勉強できる。
 
Q:(平野理事長に)今やっておくといいことは?
平野 一番大事なのは、自分の好きなことを見つけること。自分自身と向き合って探してほしい。私は高校時代、3~4か月、不登校で学校に行かなかった。その間、県立図書館でずっと本を読んでいた。幅広い関心をもってほしい。もう一つ、人と違うことを恐れないでください。周りを気にしないことです。
 
Q:(大隅副学長に)女子が理系を目指すうえで大切なことは?
大隅 ぜひ、メンター、この人いいな、と思う人を探してください。本の中にいるかもしれない。会えない人かもしれない。会える人でもいい。女子中学生の方が理系を目指したいときに大きな力となって背中を押してくれると思う。
 勉強法は、しっかり寝るのが一番。6時間、7時間は寝ること。また、気分転換をした方がいい。脳の同じところを使わない感覚。勉強する場所も変えるとリフレッシュする。証明はされていないが、記憶がよくなる可能性があるのでお勧め。


FOLLOW US!
昭和女子大学の日々を発信中!
昭和女子大学 〒154-8533 東京都世田谷区太子堂1-7-57
Copyright © Showa Women's University. All Rights Reserved.
Copyright © Showa Women's University. All Rights Reserved.